あー、やっぱりわからん。
どうしたんだい?
12誘導心電図がマジでわかんないんすよ。12個あって、一つでも難しいのに12倍難しいすわ。
そうだね。たくさんあるから最初は大変だけど、慣れてくると12倍ヒントがあるように感じるよ。
マジスカ?信じられねぇっす。
いきなりだけど、きんかんくんはマリオやったことある?
もちっすよ!!必修です!!ファミコンからスイッチまでずっとやってますよ!
たとえば、マリオがゲーム中で心筋梗塞になったとしよう。この場合スーパーファミコン世代までのマリオならおそらく肢誘導の6誘導のみで十分で,64(ロクヨン)以降のマリオなら12誘導心電図が必要になるんだよ。
は?
12誘導心電図を勉強したての人が最初につまずくのはその波形の多さでしょう。
ただ、見方を変えれば12倍情報があるとも考えることできます。
ただ、そんな事をいってると心電図を嫌いな人が更に嫌いになりそうなので、まず大ざっぱに分類していきましょう。
よく撮る12誘導心電図の場合左を肢誘導、右側を胸部誘導とよびます。
細かいことを飛ばすと,肢誘導は上下左右方向の情報で、胸部誘導は前後左右方向の情報をみると考えましょう.
これはどういうことでしょうか?
まず、すごくざっくり話すと電極の方向に電流が流れてくると上向きの波形ができます。
*★が電流です 笑
心電図を考える上で,電流の向きがどっちに向いているかが非常に大事となります。
電極方向に電流が向かってくる場合上向きの波形,遠ざかる場合下向きの波形となります。
スーパーファミコン世代(2D世代)のマリオの世界であれば肢誘導だけで十分です。肢誘導だけで電流の方向が表現できるからです。
実際に図示してみると、
という形で電気信号が流れているわけです。これなら肢誘導だけで十分です。
すなわち、なんで肢誘導・胸部誘導が必要になるかというとこの世界が3Dだからです。
64以降と私たち現実世界の場合,
こんな感じでしょう。
この電流方向を2次元のみの肢誘導で表現するのは不可能になります。
すなわち、肢誘導と胸部誘導を組み合わせることで3Dを表現するのです。
肢誘導からみていきましょう。
この時出てくるのがアイントーベンの3角形ですが、もう無視しましょう。
極論すると、肢誘導は、手首と足首につけることで上下左右方向の向きが分かる誘導だという理解だけでいきましょう。
その上でなんとなくの方向(角度)を覚えておくと後々便利です。
①Ⅰ〜Ⅲ誘導
②aVL,aVF,aVR
の3つずつにわけると覚えやすいです。
肢誘導には電気軸というのがあります。電気の方向を表して360°を-180°から180°で表現します。
時計に見立てましょう。すると1時間毎に30°の角度になります。時計方向がプラスで半時計方向がマイナスとなります。
意外に大事な点なので下の図で覚えてください。
まず①Ⅰ〜Ⅲ誘導ですが、
Ⅰ誘導を0°として時計回りに+60°→+60°に向かうとⅡ、Ⅲ誘導となります。
Ⅰ誘導が0°ってことを覚えておくんですね。
続いて②方向といきましょう。
aVLが2時(-30°)で-120°行くとaVR(-150°)で+120°行くとaVF(90°)です
aVL→aVF時計回りで+120°,aVL→aVRは半時計回りで-120°と覚えます。
まとめるとこんな感じになるね
こんな感じで上下左右の電流の状況がわかります。
胸部誘導は心臓にベルトを巻くイメージです。
これを輪切りにして足からのぞく感じでみるとこんな感じになります(CT画像と同じview)。
肢誘導と胸部誘導の情報を組み合わせて3Dの電流の流れを表現するのが12誘導心電図です。
次回以降、各波形を説明していきいたいと思います。
肢誘導と胸部誘導の心電図を組み合わせて3次元の世界を理解しよう